身近な空き箱や段ボールを活用!高齢者向け簡単工作の始め方と指先・心への効果
身近な空き箱や段ボールを活用!高齢者向け簡単工作の始め方と指先・心への効果
はじめに
ご自宅にある空き箱や段ボール、普段は資源ごみとして出してしまうものかもしれません。しかし、これらは高齢者の方向けの簡単で楽しいアート活動の素晴らしい材料になります。特別な技術や高価な道具は必要ありません。身近にあるものを使って、手軽に始められる空き箱・段ボール工作は、指先を使う訓練になるだけでなく、創造性を刺激し、心の充実にも繋がる活動です。
この記事では、空き箱や段ボールを使った高齢者向けの工作アイデア、準備する材料、具体的な手順、そして期待される心身への良い影響についてご紹介します。
なぜ空き箱・段ボール工作が高齢者におすすめなのか
空き箱や段ボールを使った工作には、高齢者の方が取り組みやすい様々なメリットがあります。
- 材料が身近で手に入りやすい: 日々の生活で必ず出る空き箱や段ボールを活用できるため、特別な準備の手間や費用がほとんどかかりません。エコな活動としても取り組めます。
- 切る・貼る・組み立てるなど多様な作業: ハサミやのり、テープを使って材料を切ったり、貼ったり、時には組み立てたりと、様々な指先や腕の動きを使います。これにより、手指の巧緻性(器用さ)の維持・向上に繋がる可能性があります。
- 自由な発想で楽しめる: 決められた型にはまらず、自由に形を変えたり色をつけたりすることができます。想像力を働かせ、自分だけの作品を作る喜びを味わえます。
- 立体的な作品で達成感: 平面だけでなく、立体的な作品を作ることで、完成した時の達成感を得やすくなります。形を認識し、空間を把握する力を使うことも期待できます。
- 片付けが比較的簡単: 紙素材が中心のため、絵具などを使う場合を除けば、比較的片付けが容易です。
空き箱・段ボールを使った簡単工作アイデア
ここでは、すぐに始められる簡単な工作アイデアをいくつかご紹介します。
アイデア1:小さな小物入れ・飾り箱
準備するもの
- お菓子やティッシュの空き箱、牛乳パックなど、しっかりした形の空き箱
- ハサミ、カッターナイフ(使用には注意が必要、サポート推奨)
- のり、木工用ボンド、両面テープ、セロハンテープ
- 色鉛筆、マーカー、クレヨン、絵具など
- 包装紙、折り紙、古布、リボン、ビーズなど(飾り付け用、あれば)
手順
- 使いたい空き箱を選びます。ふたを閉じたまま使うか、開けて使うかなどを決めます。
- 箱の外側に色を塗ったり、折り紙や布などを貼ったりして装飾します。無地の紙を貼ってから絵を描くのも良いでしょう。
- 必要に応じて、側面に窓を開けたり、取っ手をつけたりする加工をします(カッターを使う場合は特に安全に配慮してください)。
- リボンを貼ったり、ビーズをつけたりして、オリジナルの飾り付けをします。
- 乾かせば完成です。小さな宝物を入れたり、机の上の整理に使ったりできます。
アイデア2:動物やキャラクターの顔作り
準備するもの
- 丸い形の空き箱(サランラップの芯を輪切りにしたものなども可)、小さめの段ボール片
- ハサミ、のり、テープ
- 色鉛筆、マーカー、絵具など
- ボタン、毛糸、布の切れ端など(目や鼻、耳などのパーツ用、あれば)
手順
- 作りたい動物やキャラクターを決めます。簡単な顔のものがおすすめです。
- 基本となる顔の形を空き箱や段ボール片で作ります。丸や四角など、シンプルな形で構いません。
- 色を塗ったり、色紙を貼ったりして顔の色をつけます。
- 目、鼻、口、耳などのパーツを別の紙で作ったり、ボタンや布の切れ端を使ったりして用意します。
- 用意したパーツをのりやボンドで顔に貼り付けます。位置を変えるだけで表情が変わるので、楽しみながら貼りましょう。
- 乾かせば完成です。壁に飾ったり、棒をつけてお面にしたりしても良いでしょう。
アイデア3:簡単な乗り物や建物
準備するもの
- 様々な形の空き箱(トイレットペーパーの芯、牛乳パック、お菓子の箱など)
- 段ボール片
- ハサミ、カッターナイフ(使用には注意が必要、サポート推奨)
- のり、木工用ボンド、両面テープ
- 色鉛筆、絵具、マーカーなど
手順
- 作りたい乗り物(車、電車など)や建物(家など)を決めます。
- 複数の空き箱や段ボール片を組み合わせ、それぞれの形を作ります。牛乳パックを電車に見立てたり、箱を重ねて家に見立てたりするなど、自由に発想します。
- のりやテープを使って箱を固定し、基本的な形を作ります。
- 窓やドア、車輪などのパーツを段ボール片で作ったり、直接描いたりして加えます。
- 色を塗ったり、色紙を貼ったりして装飾します。
- 乾かせば完成です。いくつか作って並べると、小さな街のようになります。
空き箱・段ボール工作に期待される効果
これらの簡単な工作活動は、高齢者の方の心身に様々な良い影響をもたらす可能性があります。
- 認知機能の維持・向上: 何を作るか考える、必要な材料を選ぶ、手順を追って作業するなど、創造性や計画性、集中力を使います。また、立体的な形を認識したり、組み合わせを考えたりすることは、空間認識力や問題解決能力への刺激となる可能性が期待されます。
- 手指の巧緻性(器用さ)の維持: ハサミで切る、のりで貼る、小さなパーツを持つ、色を塗るといった作業は、指先や手の細かい筋肉を動かす訓練になります。これは日常生活での動作能力の維持にも繋がる可能性があります。
- 精神的な安定とリフレッシュ: ものづくりに集中する時間は、日々の悩みや不安から離れ、心を落ち着かせる効果が期待できます。好きな色を使ったり、自由に形を作ったりすることは、気分転換やストレス軽減にも繋がるでしょう。
- 達成感と自己肯定感: 自分の手で何かを完成させる経験は、大きな達成感と喜びをもたらします。「自分にもできる」という肯定的な気持ちは、日々の暮らしの活力になります。
- コミュニケーションの促進: 作った作品を見せ合ったり、作り方について話したりすることは、家族や友人、施設の職員などとの自然なコミュニケーションのきっかけとなります。一緒に作る時間も、大切な触れ合いの機会となるでしょう。
高齢のご家族に工作を勧める際のポイント
空き箱・段ボール工作を高齢のご家族に勧める際には、いくつか心がけていただきたい点があります。
- 無理強いせず、まずは提案から: 「こんな面白いもの見つけたんだけど、一緒にやってみない?」といった声かけで、気軽な雰囲気で誘ってみましょう。興味を示すかどうか様子を見ることが大切です。
- 材料はあらかじめ準備しておく: 材料が手元に揃っていると、始めるハードルが下がります。空き箱や段ボールを普段から取っておき、ハサミやのりなどもすぐに使えるように準備しておくと良いでしょう。
- 最初は簡単なものから、一緒に楽しむ: 最初から難しいものに挑戦するのではなく、ごく簡単なものから始めましょう。一緒に作業することで、やり方を教えたり、困った時にサポートしたりしやすくなります。一緒に作る時間は、大切なコミュニケーションの時間にもなります。
- 完成度よりも過程を大切に: 上手に作ることを目指すのではなく、「楽しかったね」「〇〇さんらしい色使いだね」など、過程や本人の工夫を褒めるようにしましょう。失敗しても「それも味があって素敵だね」と肯定的な声かけを心がけると、安心して取り組めます。
- 作った作品を飾る場所を作る: 完成した作品は、目につく場所に飾ることで、いつでも達成感を思い出し、また次の作品を作る意欲に繋がります。
まとめ
身近な空き箱や段ボールを使った簡単な工作は、高齢者の方にとって手軽に始められ、心身に様々な良い影響をもたらす可能性のある素晴らしいアート活動です。材料の準備も簡単で、特別な技術も必要ありません。
切る、貼る、組み立てるといった手指の運動、何を作るか考える創造性、完成した時の達成感、そして大切な人とのコミュニケーション。これらは、日々の暮らしを彩り、活力を与えてくれるでしょう。
ぜひ、ご自宅にある空き箱や段ボールを活用して、高齢のご家族と一緒に、またはご自身の趣味として、簡単工作を楽しんでみてはいかがでしょうか。