色を塗るだけで楽しい!高齢者向け塗り絵で脳トレ?嬉しい効果と始め方
高齢者の「何かしたい」気持ちに応える手軽な塗り絵
年齢を重ねるにつれて、外出の機会が減ったり、新しい趣味を見つけるのが難しくなったりすることがあります。特に、ご自宅や施設で過ごす時間が増えると、「何か打ち込めるものが欲しい」「でも、難しいことはしたくない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが、「塗り絵」です。子供の頃に誰もが一度は経験したことのある塗り絵は、高齢者の方にとっても非常に始めやすく、そして多くの嬉しい効果が期待できるアート活動の一つです。今回は、高齢者の方に塗り絵をおすすめする理由や、具体的な始め方、そしてご家族がサポートする際のポイントをご紹介します。
塗り絵が高齢者におすすめな理由とは
塗り絵は、ただ単に絵に色を塗るだけではありません。高齢者の方にとって、心身に様々な良い影響を与える可能性があります。
- 手軽に始められる: 特別な技術や道具は必要ありません。色鉛筆やクレヨンと塗り絵シートがあれば、すぐに始めることができます。場所も取らず、机と椅子があればどこでも楽しめます。
- 集中力とリラックス: 絵柄に集中して色を選ぶ、塗るという作業は、日常の心配事から一時的に離れ、心を落ち着かせる効果が期待できます。集中することで適度な脳への刺激にもつながります。
- 手指の運動と感覚の維持: 色を塗る際にペンや色鉛筆を持つ、細かい部分を塗るといった動作は、手指の筋肉を使います。これは、手の巧緻性(器用さ)を維持するための一助となる可能性があります。また、色彩感覚や形を認識する力を使う機会にもなります。
- 達成感と自己肯定感: 塗り絵が完成したときの喜びは、大きな達成感につながります。「自分でやり遂げた」という感覚は、自己肯定感を高め、日々の生活にハリをもたらす可能性があります。
- 認知機能維持への可能性: 色を選ぶ、線の内側を丁寧に塗る、全体の色合いを考えるといったプロセスは、脳の様々な部分を使います。これにより、認知機能の維持や活性化につながる可能性が指摘されています。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、個人の状態によって異なります。
- コミュニケーションのきっかけ: 完成した塗り絵を見せたり、どんな色を使ったかを話したりすることで、ご家族や施設の方との会話が生まれます。「この部分はどんな色がいいかしら?」「きれいに塗れたね!」といったやり取りは、孤立を防ぎ、コミュニケーションを豊かにします。
塗り絵を始めるために必要なもの
塗り絵を始めるために必要なものは、非常にシンプルです。
- 塗り絵シート:
- 書店や文房具店で「大人の塗り絵」や「高齢者向け塗り絵」として販売されています。大きな文字や塗りやすい絵柄のものを選ぶと良いでしょう。
- インターネット上には、無料の塗り絵素材をダウンロードできるサイトも多数あります。プリンターがあれば自宅で簡単に準備できます。
- 昔ながらの子供向け塗り絵でも十分楽しめます。
- 色を塗る道具:
- 色鉛筆: 最も一般的で、扱いやすい道具です。様々な色があり、細かい部分も塗りやすいです。滑りにくい加工がされたものや、太めの芯のものもあります。
- クレヨン: 小さなお子様でも扱いやすく、力をあまり入れずに塗れます。広い面を塗るのに適しています。
- 水彩色鉛筆: 水に溶かすことで絵の具のような表現も楽しめます。少し違った塗り心地を試したい場合におすすめです。
- クーピーペンシル: クレヨンと色鉛筆の中間のような描き心地で、削ることもできます。
これらの道具は、100円ショップやスーパー、家電量販店など、身近な場所で手軽に購入できます。まずは、ご本人が扱いやすく、好きな色があるものを選んでみましょう。
高齢者の方が塗り絵を始める・楽しむステップ
- 絵柄を選ぶ: ご本人が興味のある、好きな絵柄を選んでもらうことが大切です。花、風景、動物、キャラクターなど、種類は豊富です。難しそうに見える場合は、シンプルな絵柄や、塗りやすい線が太めのものから始めてみましょう。
- 色を選ぶ: 好きな色、塗りたい色を自由に選びます。絵の見本通りに塗る必要はありません。自由な発想で色を選ぶこと自体が、創造性を刺激します。
- 色を塗る: 線の内側を意識しながら、ゆっくりと色を塗ります。無理のない範囲で集中して取り組む時間を設けます。疲れたら休憩することも大切です。
- 完成を楽しむ: 一つの絵が塗り終わったら、飾ってみたり、誰かに見せたりして、完成した喜びを共有しましょう。全部塗れなくても、途中まででも、完成に向けて取り組んだ過程を大切にします。
- 継続する: 毎日少しずつでも、気が向いたときにでも、無理なく続けることが大切です。習慣になると、日々の生活の中に楽しみが一つ増えます。
ご家族ができるサポートのポイント
離れて暮らす親御さんや、身近な高齢者の方に塗り絵を勧める際は、いくつかのポイントがあります。
- 強制しない、楽しそうに話す: 「これをやりなさい」ではなく、「こんな楽しそうなものがあるけど、一緒に見てみない?」と、興味を引くように優しく話しかけてみましょう。ご自身が楽しそうに道具や絵柄を見せるのも効果的です。
- 道具や場所を準備しておく: 始めるための準備が負担にならないよう、すぐに取り組めるように道具や塗り絵シートを用意しておくと良いでしょう。明るく落ち着いた場所で始められるように配慮します。
- 一緒に始めてみる: 最初は一緒に座って、同じ絵柄や違う絵柄を塗ってみるのも良い方法です。「どっちが上手に塗れるかな?」「この色きれいね」など、一緒に作業しながら声をかけることで、取り組みやすくなります。
- 過程と成果を褒める: 塗り始めたこと、色を選んだこと、完成したことなど、取り組む過程を積極的に褒めましょう。「集中しててすごいね」「この色遣い、きれいだね」といった肯定的な声かけは、次の活動への意欲につながります。
- 会話のきっかけにする: 完成した絵を見ながら、「この花、綺麗に塗れたね。何か思い出の花はある?」「どんな気持ちでこの色を選んだの?」など、絵をテーマにした会話をすることで、コミュニケーションを深めることができます。
まとめ
塗り絵は、高齢者の方々が自宅や施設で手軽に始められ、心身に良い影響をもたらす可能性を秘めたアート活動です。集中力を養い、手指を動かし、色彩を楽しむことで、日々の生活に彩りと活力が生まれることが期待されます。
認知機能の維持や向上が気になるというご家族の方も、塗り絵をきっかけに、ご高齢の親御さんとのコミュニケーションを深め、一緒に楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。無理なく、ご本人のペースで楽しめるようにサポートすることで、塗り絵が豊かな時間の一部となることを願っています。