身近なものを組み合わせて創造!高齢者向けコラージュアートの始め方と脳・心への効果
身近な素材で楽しむコラージュアートとは?
コラージュアートは、新聞紙、雑誌の切り抜き、包装紙、布、写真など、様々な素材を台紙に貼り付けて一つの絵やデザインを作り上げるアート手法です。「コラージュ(collage)」はフランス語で「貼る」という意味があり、特別な絵の技術がなくても、色や形、素材の組み合わせを楽しむことができます。
このコラージュアートは、身近な材料で手軽に始められることから、高齢者の方向けの活動としても大変おすすめです。手指を動かすだけでなく、どのような素材をどこに貼るか考える過程で、脳を活性化することにもつながります。
高齢者向けコラージュアートの始め方
コラージュアートを始めるのに、高価な道具や特別な技術は必要ありません。自宅にあるものや、100円ショップなどで手軽に手に入るものを使って、すぐに始めることができます。
準備するもの
- 台紙: 画用紙、厚紙、段ボールの切れ端など、貼るための土台となるもの。ポストカードサイズから大きめのサイズまで、作りたいものに合わせて選びましょう。
- 貼る素材:
- 新聞紙、雑誌、チラシ、カタログの切り抜き
- 折り紙、色紙、包装紙、お菓子の箱など、模様や色のついた紙
- 布の切れ端
- 毛糸や紐
- 押し花や落ち葉など(乾燥させたもの)
- ボタン、ビーズ、モールなど(小さいものは誤飲に注意)
- 思い出の写真(コピーしたものを使うのがおすすめです)
- 接着剤: 紙用のり、木工用ボンドなど。乾きやすく、扱いやすいものを選びましょう。スティックのりも便利です。
- 切る道具: ハサミ。安全のために、刃先が丸い子ども用ハサミなどもおすすめです。手でちぎるだけでも十分楽しめます。
基本的な手順
- テーマを決める(任意): 必ずしも必要ではありませんが、「好きな色」「季節」「思い出」など、漠然としたテーマがあると素材を選びやすくなります。
- 素材を集める・選ぶ: 準備した素材の中から、使いたいものを選びます。雑誌や新聞の中から好きな写真や文字、色を見つけたり、布の感触を確かめたりする時間も楽しいものです。ハサミや手で素材を切り抜いたり、ちぎったりして準備します。
- レイアウトを考える: 台紙の上に、準備した素材を仮置きしてみましょう。全体のバランスを見ながら、どのように配置するか考えます。この段階で、色々な組み合わせを試すことができます。
- 貼り付ける: レイアウトが決まったら、のりやボンドを使って台紙にしっかりと貼り付けていきます。素材によっては剥がれやすいものもあるため、接着剤の種類を工夫すると良いでしょう。
- 仕上げ: 全体を眺めて、足りないところに何かを書き加えたり、飾り付けをしたりして完成です。
「こうでなければならない」という決まりはありません。自由に素材を選び、感じるままに貼り付けていくことが大切です。
コラージュアートが高齢者の心身にもたらす効果
コラージュアートに取り組むことは、高齢者の方々にとって様々な良い影響が期待できます。
- 認知機能への刺激: どのような素材を使うか、どこに配置するか、全体の構成を考える過程は、判断力や思考力、創造性を養うことにつながります。また、様々な素材の色や形、感触に触れることは、五感を刺激し、脳の活性化に役立つ可能性が考えられます。
- 手指の巧緻性向上・維持: ハサミで切る、手でちぎる、のりを塗る、素材を台紙に貼るなど、指先を使った細かな作業が多く含まれます。これにより、手指の運動機能の維持や向上に繋がる可能性があります。
- 精神的な安定と自己表現: 自分の好きな色や素材を選び、自由に表現することで、自己肯定感や達成感を得られます。完成した作品を見て、喜びや満足感を感じることは、心の安定にも繋がります。また、言葉にすることが難しい感情や記憶を、作品を通じて表現する方もいらっしゃいます。
- コミュニケーションのきっかけ: 作った作品について家族や支援者と話すことで、会話が弾み、コミュニケーションの機会が生まれます。「これ、何の雑誌から切り抜いたの?」「この布、懐かしいね」といったやり取りは、思い出を振り返ったり、新たな共通の話題を見つけたりすることにも繋がります。
- リラクゼーション効果: 好きな素材に触れ、集中して作業に取り組む時間は、日常の心配事を忘れ、リラックスできる時間となり得ます。
高齢の親御さんにおすすめする際のポイント
離れて暮らす親御さんにコラージュアートを勧める際には、いくつかの工夫で、よりスムーズに楽しんでもらえる可能性があります。
- まずは見せて、一緒に楽しむ: 完成した作品例を見せたり、あるいはあなた自身が楽しんでいる様子を見せたりして、興味を持ってもらうことから始めましょう。「こんな楽しいことを見つけたんだけど、一緒にやってみない?」と、誘ってみるのが良いかもしれません。
- 無理強いはしない: 本人が乗り気でない場合は、無理に勧めるのは避けましょう。道具や材料だけを置いておき、気が向いたらいつでも始められる環境を整えておくのも一つの方法です。
- 材料を準備しておく: ハサミで切っておいた素材をいくつか用意しておいたり、のりを出しておいたりするなど、すぐに始められるように準備をサポートすると、取り掛かりやすくなります。
- 安全に配慮する: ハサミを使う際は、刃先が安全なものを選んだり、使う場所を整えたりしましょう。小さいビーズなどを使う場合は、誤飲の危険がないか注意が必要です。
- 完璧を求めない: 「うまく作る」ことよりも、「楽しむ」ことを一番の目的にしましょう。できた作品に対しては、惜しみなく褒めることで、本人のモチベーションに繋がります。
- 一緒に取り組む時間を作る: 可能であれば、一緒に素材を選んだり、隣で作業したりする時間を持つと、より一層楽しさが増します。コミュニケーションの貴重な機会にもなります。
まとめ
コラージュアートは、身近な素材と簡単な道具で、誰でも気軽に始められるアート活動です。色々なものを組み合わせて新しいものを作り出す過程は創造力を刺激し、指先を動かすことは脳の活性化に繋がる可能性が期待できます。
完成した作品は、リビングに飾ったり、ご家族にプレゼントしたりと、楽しむ方法も様々です。ぜひ、コラージュアートを通じて、創造する楽しさや、心満たされる時間を体験してみてください。そして、もし高齢のご家族がいらっしゃる場合は、この手軽で楽しいアート活動を、コミュニケーションのきっかけとして提案してみてはいかがでしょうか。