絵具に触れて感覚刺激!高齢者向け指絵具(フィンガーペイント)の魅力と始め方
五感を刺激するアート活動:高齢者向け指絵具(フィンガーペイント)のすすめ
ご自宅や施設で、手軽にアート活動を始めてみたいとお考えの方へ。今回は、特別な道具を使わず、絵具に直接触れる楽しさを味わえる「指絵具(フィンガーペイント)」をご紹介します。高齢者の方々にとって、指絵具は感覚を刺激し、創造性を引き出す素晴らしい機会となります。準備や片付けも比較的簡単で、気楽に始められるのが魅力です。
指絵具(フィンガーペイント)とは?
指絵具とは、名前の通り指や手を使って直接描くための絵具です。一般的な絵具よりも安全性が高く、粘り気があって垂れにくいように作られているものが多くあります。筆や道具の使い方を気にせず、感覚的に色や形に触れることができるため、アートの経験がない方でも抵抗なく始めることができます。
なぜ高齢者の方におすすめなのでしょうか?
指絵具を使った活動は、単に絵を描くだけでなく、高齢者の方々の心身に様々な良い影響をもたらす可能性を秘めています。
- 感覚への働きかけ: 絵具のひんやりとした感触、滑らかさ、混ぜ合った時の色の変化など、視覚や触覚といった五感を刺激します。これは脳への良い刺激となり得ます。
- 手指の運動: 指や手全体を使って絵具を広げたり、模様を描いたりすることで、普段あまり使わない筋肉や関節を動かします。手指の巧緻性や柔軟性の維持に繋がる可能性があります。
- 自由な自己表現: 「こう描かなければならない」という決まりがないため、感じるままに自由に色や形を表現できます。これはストレスの軽減や、内に秘めた感情の表出に役立つことがあります。
- 達成感と自信: 完成した作品を見ることで、「自分で作った」という達成感を得られます。これは自己肯定感を高め、活動への意欲に繋がります。
- コミュニケーションのきっかけ: 完成した絵について話したり、一緒に活動したりする中で、ご家族や介護者とのコミュニケーションが生まれます。
これらの要素は、特に認知機能の維持や精神的な安定に良い影響をもたらすことが期待されています。
指絵具(フィンガーペイント)の始め方
とてもシンプルに必要なものを揃え、始めてみましょう。
準備するもの
- 指絵具: 高齢者向けや子供向けの安全性の高いものを選びましょう。水で簡単に洗い流せるタイプが便利です。画材店や大きめの文房具店、インターネット通販などで手に入ります。いくつかの色があると楽しいです。
- 紙: 画用紙や少し厚手の紙がおすすめです。新聞紙の大きな紙や、不要になったカレンダーの裏なども利用できます。
- 絵具を出す容器: パレット代わりになる平らなお皿や、使い捨てのプラスチック容器など。絵具同士が混ざっても良い場合は、大きな一枚の容器でも構いません。
- 汚れても良い服装やエプロン: 服に絵具がついてしまうことがありますので、着用をおすすめします。
- 新聞紙やビニールシート: 机や床が汚れるのを防ぐために敷きます。
- 濡れタオルやウェットティッシュ、水を入れたバケツなど: 活動中に手を拭いたり、終わった後に洗ったりするために準備しておきます。
やり方(簡単な手順)
- 場所の準備: 机や床に新聞紙などをしっかりと敷き、汚れても良いように準備します。
- 絵具の準備: 用意した容器に、使う色の絵具を適量出します。
- 自由に描く!: 指や手のひらを使って、紙の上に自由に絵具を広げたり、混ぜたりして描きます。特別な決まりはありません。「どんな感触かな?」「この色とこの色を混ぜるとどうなるかな?」など、感覚を楽しみましょう。
- 休憩と片付け: 疲れないように適度に休憩を挟みます。描き終わったら、濡れタオルなどで手を拭き、後片付けをします。絵具の種類によっては、水で簡単に洗い流せます。
高齢のご家族に勧める際のポイント
ご自身で活動されるのはもちろんですが、離れて暮らす親御さんや、身近な高齢者の方に勧める際には、いくつかの配慮があるとよりスムーズに始められます。
- ポジティブな声かけ: 「絵を描くのが目的」と構えるより、「絵具の感触を楽しんでみませんか?」「色を混ぜて遊んでみましょう」といった、活動そのものの楽しさに焦点を当てた声かけをしてみましょう。「上手に描こう」と思わせないことが大切です。
- 無理強いしない: もし興味を示さない場合は、無理に勧めず、別の機会にしてみましょう。まずは準備だけ見てもらう、一緒に絵具の感触を確かめるなど、小さなステップから始めるのも良い方法です。
- 安全への配慮: 絵具は食品ではないことを伝え、口にしないように注意します。蓋の開閉が難しい場合は手伝い、準備や片付けもサポートしましょう。
- 一緒に楽しむ: もし可能であれば、一緒に指絵具に触れてみるのもおすすめです。同じ時間に同じ活動をすることで、会話が弾み、良いコミュニケーションの時間になります。
- 作品を飾る: 完成した作品は、本人の目に触れる場所に飾ったり、写真に撮って共有したりすると、達成感や喜びを分かち合えます。
まとめ
指絵具(フィンガーペイント)は、特別な技術や経験がなくても、誰でもすぐに始められるアート活動です。絵具の感触や色の変化を五感で感じながら、自由に手を動かすことは、高齢者の方々にとって心身両面で豊かな時間となります。難しく考えず、「絵具で遊んでみよう」という軽い気持ちで、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。活動を通じて、新しい発見や、大切な方とのコミュニケーションの機会が生まれるかもしれません。